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July 21, 2005

7月21日 最近届いた本と資料たち

暑いからと言って少しは勉強もしなくては…
ということで最近届いた資料からいくつかご紹介。
じっくりと読み込めてはいないのですけどね。

book ひとつはW.Hanegraaf編
"Dictionary of Gnosis and Western Esotericism"全2巻です。
電話帳サイズのグノーシス主義と西洋秘教思想の大事典。
古典古代から現代までの、西洋の秘教のことが網羅されている事典です。
編者のハネグラアフ氏は秘教の歴史的研究をリードするアムステルダム大学の教授で
編集に協力しているのは、フランスのアントワーヌ・フェーヴル教授。
アカデミックな意味では現在もっとも信頼できる事典だといっていいのではないでしょうか。

エソテリシズムとは、本来「秘教」という意味で、一般の人々に明かされている教義(顕教)からは隠されている内面的な真理の教えだということになります。
オカルト主義者やユングの影響を受けた人たちは、「秘教」的なものをなんでもひとつの器にいれてしまってその共通項を取り出し「永遠の哲学」を作り上げようとする癖がありますが(僕もその一人ですね)
しかし、そうした方法論は一歩間違うととても危険です。
それはすぐに、「仏教もイスラムも同じことをいっている。宗教の本質は同じだ。
そして、そのことを理解している私は最も正しい」というドグマ主義になってしまいますから。
実際、そういう危ういカルトが一杯ありますよね。
「みんな同じことをいっている」というのは、一見とても寛容にみえますが
しかし、実はとても排他的でもあるのではないでしょうか。
この本の編者は明瞭に、「内面の真理」こそが宗教の本質であるとみなして
歴史性を無視する方法論を否定し、だからこそあえて「西洋の秘教」という
タイトルを選んでいるのです。こうした慎重な姿勢の地道な研究に基づく参照文献があるからこそ僕たちは安心して、さまざまな話題や材料を手にすることができるようになるわけです。

しかし、この厚さ、読破することはできないだろうなあ。
でも、必要なところを拾い読みするだけでも、ずっと楽しめるかな。
まずはAstrologyとかGebelinといった項目を読みますか。
なお、こんな分厚いものは部屋にはおいとけない、と思われる方は
フェーブル教授のコンパクトな入門書が邦訳でも出ていますからそちらをどうぞ。
『エゾテリスム思想 西洋隠秘学の系譜』田中義廣訳 文庫クセジュ。
新書サイズで西洋の秘教の系譜を網羅しています。

dvd01 それからDVDで届いたのは
心理占星術の泰斗リズ・グリーンとユング派の「元型的心理学」の創始者ジェイムズ・ヒルマンの共同セミナーの講演録。
この二人には僕は非常に大きな影響を受けています。
グリーンの『占星学』『サターン』やヒルマンの
『魂のコード』を翻訳したのも僕です。

今年の2月に英国のバース大学で行われたもので
僕もぜひ参加したかったのですがどうしてもスケジュールがあわずに断念したものでした。
それがDVDで録音されています。
残念ながら動画はないのですが面白い図版もたくさん収録されています。
心理学と占星術の双方の立場から、「たましい」の領域に
踏み込んでいくレクチャーはとてもスリリングです。
当然、英語ですし、グリーンさんの英語は
とても聞き取りにくいのがつらいところですが
もし興味があれば、取り寄せてもいいでしょう。
あるいは僕の訳の本もごらんになってください。book02

Posted by 鏡リュウジ  学問・資格 |