10月18日 幻想の東洋
「ちくま学芸文庫」は、僕の好きな文庫シリーズです。
もう最近、端から買わなくっちゃというシリーズが目白押しなんです。
ワールブルグという、ものすごい美術史家がいるんですが
そのワールブルグ本人やらその人が率いた同じ学派の美術史家たちは
占星術や錬金術に新しい光を当てました。日本では70年代から80年代に
大いに注目を集めたのですが、その学派の本も次々に文庫になっている。
クリストファー・マッキントッシュの薔薇十字主義の解説書も
ルネサンスオカルトの解説書も「魔道」の大先達であり
言葉の錬金術師といわれた日夏耿之介の『サバト怪異帖』も上田秋成の『雨月』も。
そして今月の新刊は、彌永信美先生の『幻想の東洋』全二巻。
実は僕、彌永信美先生のファンなんです。
この本は、もともとは僕の大学生のころに出たんですが
夢中になって読んだのを覚えています。
ヨーロッパの人々が、「オリエント」に抱いた
憧れと恐れ、そしてその表象(イメージ)が、実際にコロンブスを
東洋へ向かわせ、宣教師たちを送り出し、植民地を作り上げていった
プロセスを、それこそ魅惑的な素材を使って描き出しています。
膨大な資料、とりあげられる、魅惑的な題材に夢中になったのは、
当の著者自身が厳しく批判しようとしている、わが内なるエキゾチズム趣味のせいなのでしょうけれど。
文庫版には、「近代世界と『東洋/西洋』世界観」があらたに収録されています。
地球には物理的には南北はあっても、東西は本来存在しない。
しかし、古代から西洋の人々は真理の源、あるいは蛮族の地として
「東洋」をイメージしてきました。タロットはエジプト起源であるという
今なおタロット占い師をとらえてやまない神話は、まさにその典型。
重要なことはそうしたイメージが実際に歴史にフィードバックされ、
行動に移されることがあるということなのです。これには美しさも危険も
両方が含まれています。
ともあれ、この本に含まれているめくるめく魅惑的な逸話は
それだけで面白く、引き込まれてしまいます。
















