1月28日 Cosmos and Psycheは占星術最後の「大きな物語」か?
占星術界で久々にきわめて注目すべき本が出ました。
Richard TarnasによるCosmos and Psycheです。
このタルナスという人、ハーバード大出身で西海岸の大学院大学CIISで教鞭をとる学者。なんといっても、ベストセラーになった西洋哲学史の本Passion of the Western Mindの著者としても知られています。
ギリシャから現代哲学、宗教まで西洋の精神史の発達にたいして該博な知識を要領よくまとめたこの本は大ベストセラーになり、アメリカの多くの大学でも教科書として用いられたと聞いています。
空港のキオスクでも巨大なこの哲学史の本が積まれていたのを何年も前に見て感激したことがあります。
鮮やかな哲学史の語り手としてのタルナス。しかしタルナスのもうひとつの顔は占星術家のそれなのです。
トランスパーソナル心理学の旗手とされたスタニスラフ・グロフとともに、しばしば占星術の学会でも講演をしており、とくに惑星のサイクルと歴史的な出来事や事象との間に明瞭な関係があると主張しています。
心理占星術の世界では天王星のシンボリズムとプロメテウスの元型を結びつけたことでも有名です。
タルナスによれば、成功した前著は「トロイの木馬」なのだそう。
知的に武装し、安全だと思われた著作を知識人たちにまず送り込んでおく。しかし、それは占星術の世界観の重要性、リアリテイを説くための戦略。だっていきなり占星術を持ち出すと知的世界では黙殺される可能性が高いからだというわけ。
西洋哲学の「全史」を描く試みは、実は西洋のコスモロジーの大きな変革が起こりつつある現代の特徴をあぶり出し、そして、もう一度この世界に魂と生命をもたらすことre-enchantmentが起こりつつあることを語るための下準備である。そして惑星の配列と時代精神との共時的な相関関係は宇宙と地球、心との密接なつながり(近代という「脱魔術化」は
それを断ち切るプロセスだったわけです)の実在性を証明しているというのでしょう。
「コスモスと心」は出る出るといわれながらずっと待たされていたのですがそれがついに出版されました。
届いたばかりでまだ読めていないのですが
アメリカやイギリスの占星術大会での講演やこれまでの記事などから
だいたい上記のような内容であるということが予測されます。
ここで、やったぜ、占星術バンザイ、と叫びたいのはやまやまではあるのですが、ポストモダニズムの時代において歴史に一貫した流れがあるということ思考がもはやひとつの「神話」であると暴露されているのではないでしょうか。
しかも、過去においても歴史の転換点という神話を語りそれを補強するために占星術が用いられることが繰り返しあったことは、同じく占星術家でありいまやバース大学で教鞭をとるニック・キャンピオンのThe Great Yearというこれまた大著が明瞭に語っています。
タルナスのこの本が、時代精神の変化と惑星サイクルの素朴な一致を字義的にといているのだとしたら、それこそが一神教に特徴的な、直線的な「歴史」という、神話的な思考の直接的な産物だということになってしまうのかもしれません。
往々にして占星術家は、時代の裂け目だとか変化を語りがちですが、それが「今年のムードは」といった単純な予言を超えて、世界観の変化を語ろうとする、それも大真面目に、しかも熱い情熱と圧倒的な情報量をもって語ろうとするこの本は、もしかしたら最後のグランドセオリーとしての占星術書になるかもしれないと僕は感じています。
この本がどんなふうに評価されるのか、もしかしたら中にきらめくような新たな歴史観があるのか、逆に千年王国的、ニューエイジ的な神話の語りの1バージョンにすぎないのか、
わくわくしながらページを開こうと思います。
















