ブログ更新が遅れていてすみません。
サイン会、講座、京都との往復などなど
あわただしく過ごしていました。
さて、最近読んでいる本。
一番刺激的だったのは
マーテイン・バナール著『ブラック・アテナ』片岡幸彦監訳
新評論
です。新聞の書評などでも話題になっていますが
これは実にコントラバーシャルな内容です。
副題は「古代ギリシャ文明のアフロ・アジア的ルーツ」で原著は巨大な本なのですが
これはその一部らしい。
副題にあるとおり、「西洋」の理想的ルーツとして描かれるギリシャ古典文明は
実際には白人のものではなく、古代ギリシャはエジプトや中近東の文明の
一種の植民地であって、ひょっとしたら女神アテナは「黒かった」のではないかという
話。日本人からするとアテナが黒人であろうがイエスが黒かろうが
たいしたことではないと思われるかもしれませんが
これは西洋の歴史観をくつがえすほどの大変な衝撃をもった説なのです。
この大著では、詳細な資料をもとに正統的な歴史観が描き出す
白人文明のルーツとしてのギリシャ像を次々に覆していくのですが
僕にとってとくに貴重な情報がえられるのは、18世紀から19世紀にかけて
いかにこのようなギリシャの理想化が行われていったか、ということ。
つまりそれ以前にはたとえばエジプトが英知の源泉としてイメージされていて、
知識人たちにとってはそちらが「常識」であったのにたいし、
進歩史観と対イスラムへのヨーロッパが団結するためになかば強引に
西洋の精神的ルーツとしてのギリシャ至上主義が形成されたというわけです。
僕たちオカルトや占星術に関心があるものにとってはこのことは重要。
たとえばタロットのエジプト起源説がフリーメイソンへの
エジプト儀礼の導入などがおこるのは、18世紀後半におこった
エジプト称揚ムード。これが一気に、エジプト蔑視へと反転するのが
19世紀。
このあたりのことはほかの資料ではよくわからなかったのですが
この本では実に詳しく書かれていて本当に貴重。
また、以前から大ファンであった鶴岡真弓先生の新刊も
面白いです。
『黄金と生命』講談社。
紀元前7千年期に存在したという、
「古ヨーロッパ」文明(マリア・ギンブタスの説)から現代にいたるまでの
「黄金」をめぐる人類の物語を語るという壮大な試みです。
といっても、単純に「黄金」の博物誌だというわけではありません。
人類の文明の本質を描き出すためにこそ、
黄金という素材をつかってさまざまな学問分野をクロスオーバーしているのです。
ご本人の言葉によれば
「人類と金属との関係、とくに金属の王たる『黄金』のイメージを、いくつもの
千年紀を超えて津窮してゆく本書は、考古、自然、宗教、神話、歴史、哲学、芸術、
経済などを横断し、表象の文明史を明らかにする真の人文学の書たらんと欲している」
わけです。
僕の『占い脳』『はじめての占星術』とあわせてぜひ読んでみてくださいね。