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January 10, 2008

1月10日 生きた「モノ学」としての占星術

2008年があけてあっという間に時間がすぎていきます。
すでに締め切りもたくさんきてしまって…。
そんななか、今週末もまた京都。
京都造形大学で、鎌田東二先生が中心になって
やっておられる「モノ学研究会」での発表です。

モノ学とは何か。
詳しくはhttp://homepage2.nifty.com/mono-gaku/
をごらんいただきたいのですが、ぼくなりに考えると、
西洋ないし近代がかかえている精神と物質という
ダイコトミー(二項対立)を、
その両者を同時に意味することができる日本語の
「モノ」という概念を軸に乗り越えようという試みのこと。
ほら、日本語のモノというのは
単に物質を意味することもあれば、
「もののけ」(物化)とか「物語」「もののふ」
「もののあはれ」といった用法にあらわれるように
心や魂を内包することもありますよね。
このモノという言葉を軸に分野を横断して
学際的にさまざまな方が意見を出されています。

考えてみれば占星術は西洋において
そんな「モノ」的概念を今なお、抱え込んでいる営みです。
月はぼくたちにとっては単なる岩の塊ではない。
それは天体であると同時に女神であり、母なるものでもあり、
母が愛する子供であり、ぼくたちの本能でもある。
金星は硫酸のガスに覆われた高温の惑星であると同時に
夕闇に輝き恋人たちを祝福する愛の女神でもある。
チャートの上を移ろう星影をおいかけながら
ぼくたち占星術の徒は、神話の神々と
心の動きを同時に透かし見ようとするわけです。

占星術自体ももちろん、時代のなかで
「個人化」したり「内面化」したりしたとはいえ、
惑星のイメージの基本的な内容は、二千年近くも
かわっておらず、広範囲な文化のなかでの
重要なシンボルの生きた遺産となって
現代文化のなかであちこちに姿を現しています。
このことは本当に驚くべきことではないでしょうか。

最近、翻訳出版した『神々の物語』(柏書房)などには
そうした神話のいきいきとした解釈が収められています。
ぜひみてくださいね。
フルカラーで見る神話の世界は本当に魅力的です。

また元型的心理学で重要になる
「たましい」(魂)という言葉は、
ジェイムズ・ヒルマンという心理学者が西洋的な言い方で
「モノ」を概念化したものだということもできると思います。
ヒルマンによればたましいとは
「出来事を経験に深め」る「見方」であり
精神と物質をつなぐもの、だということになります。
魂については、これまた拙訳『魂のコード』などを
ごらんいただきたいのですが
サイトで展開している「ソウルフル・タロット」でわざわざ
「ソウル」(魂)という言葉をつけたのも、
そんなニュアンスがこめられているのでした。
サイトを楽しんでいただくと同時に、
そんなことも考えていただけるとうれしいです。

Posted by 鏡リュウジ  文化・芸術 |