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December 16, 2008

12月16日 物語を生み出すタロット

現代アメリカを代表するタロッティスト、
レイチェル・ポラックの新刊が出ました。
『The TAROT of PERFECTION』という本です。

081216

タロットの本といっても、歴史とか象徴研究とか、
占い方といった内容ではありません。
実はこれ、短編ファンタジー小説集なんです。
ぼくも最近知って驚いたのですが
ポラックはなんとアーサー・C・クラーク賞とか
世界ファンタジー大賞などを受賞している、実力派の作家でもありました。

この本はそんな彼女が
タロットのイメージをベースにして書いた
短編童話、ファンタジー集なんです。
かつて、イタリアの幻想作家イタロ・カルヴィーノは
『宿命の交わる城』(その文庫版の解説は僕が書かせていただいています)
で、タロットは物語生成装置だと述べていました。
日本では大塚英志氏が、タロットを使った物語
ライティングの技法についても触れられておられますね。
歴史的に見てもルネサンスのころには、
タロットは今のように占いに用いられる前には
詩を生み出す「お題」として用いられていた経緯があります。
いうならば、タロットを使った文藝
占いよりも先にあったとさえいえるわけです。

ポラックは以前にも、イギリスのケルト研究で有名な
ケイトリン・マシューズと『Tarot Tales』という同様の本を編んでいます。
今回の本は、その多くが「むかしむかしある
ところに……」で始まる民話調のもの。

天真爛漫な末っ子の愚者が、その無頓着さゆえに
幸運を知らぬ間につかんでゆく……なんて
日本のおとぎ話にも出てきそうな楽しいお話が並んでいます。

考えてみれば、タロット占いのことをReadingというのも
偶然ではありませんよね。
ユングはかつて「人生はひとつの物語である」と言いました。
この自分の物語を見失ったときに、人は苦しむのだと思います。
占いはそんな物語を再発見するため、読み直すための
お手伝いなのではないでしょうか。

新しい年を迎えるこの時期、
ソウルフルタロットをはじめ僕のサイトが
みなさんの新しい年の物語を見つける
きっかけになればいいと願っています。

Posted by 鏡リュウジ   |