6月25日 ウエイト=スミス版タロットから100年
アメリカの最大手カードーメーカー「USゲームズ社」から、興味深いコレクターアイテムが出ました。
Pamera Colman Smith Commemorative Setです。
パメラ・コールマン・スミスといえば、現代を代表するタロットデッキを作画した画家。
世界中でもっとも流通しているタロットといえば、このセットでしょう。
通常、作画指導をしたとされるアーサー・ウエイトの名前をとって「ウエイト版」と呼ばれたり、あるいは初版を出した版元の名前をとって「ライダー版」などといわれてきましたが、昨今では実際に作画したこの女流画家に敬意を表して「ウエイト=スミス版」などと言われることが多くなっています。
実際、タロットといえば、この版を思い浮かべる人が圧倒的に多いのではないでしょうか。
78枚すべてを絵札に描き替えたというその創造性から、柔らかで品のよいタッチ、このデッキはタロット史上に残る、いや、美術史の中に残る名作だと言ってもいいのではないかとぼくは思っています。
今回のセットは、ウエイト=スミス版が最初に制作されてから100年たったことを記念して発行されたもの。1909年に出たオリジナルのウエイト=スミス版の復刻、ウエイトの「タロットの絵の鍵」、そしてUSゲームズ社、社長のS・キャプランによる「パメラ・コールマン・スミスの作品と時代」というカラーの本。
更にはスミスの作品の絵葉書などを合わせた豪華なセット。
なんといっても目玉は、キャプランによるパメラ・スミスの評伝でしょう。
小さな本とはいえ、パメラの生涯や作品などを収めた貴重なものです。
100点ものパメラの絵が掲載されているのが貴重。
実際、パメラは不遇な女性でした。さまざまな本や雑誌の挿絵を描いたり、舞台芸術や衣裳を手掛け、またイエイツの紹介で魔術結社「黄金の夜明け」に参加するも、生前はアートシーンで金銭的に正当に評価されることはなく、また大成功したタロットのセットに関しても、ウエイトの影に隠れるかたちのパメラのことを想起する人は少なく、独身の困窮したままその一生を終えた、とのこと。
▲パメラ コールマン スミスの作品
現代においてタロットを愛するものは一人残らず、パメラ・スミスに恩義を感じてしかるべきなのですが、長らく、その業績はきちんと評価されてきませんでした。
ウエイト=スミス100周年の今年、優れた女性芸術家に思いをよせようではありませんか。
ぼくの「ソウルフル・タロット」も今回、めでたく重版となりましたが、これもまた、ウエイト=スミス版の影響の下にあります。
多くの方にこのサイトもデッキも愛用していただいていますが、それもまた、アイルランドの妖精「ピクシー」の別名をもつ、パメラ・スミスの小さく細い肩の上に乗っています。

















