6月29日 海のエジプト展で占星術の源流に出会う
横浜で開催されている、「海のエジプト展」、
内覧会にお招きいただいたので、一足先に見に行ってきました。
これは北エジプトのヘレニズム都市、アレクサンドリア、カノープスなどの海中に没したエジプトの遺跡、遺物を展示するという豪華なもの。
アレクサンドリアといえば、2世紀に占星術の最も初期の教科書を表わした天文学者にして、コペルニクスの科学革命にいたるまで千数百年にわたってヨーロッパの宇宙観を決定づけたプトレマイオスが活躍した占星術の「聖地」でもあります。
伝説の大図書館が存在したのもここ。
アレクサンドリアだけではなく、この付近には、海の貿易を基軸にした偉大な都市がいくつも点在していました。
以前FRaU誌で、ぼく自身もアレクサンドリアを取材させていただいた経験がありますが、その遺物がまとまって日本でもみられるとのこと、これは見逃すわけにはいきません。
ご一緒していただいたのは、例の対談以来、すっかり仲良くしてもらっている、ストリート系占い師ユニットNOT FOR SALEのSUGARくん。
みなとみらいの展示会場で開催されているこの展示会、展示方法にも工夫がこらされていて、大人も子供も楽しめるかんじですが、入ってすぐに目に飛び込んできたのは、ぼくたち占星術家にとっては「いきなりクライマックス」!
「デカンの祠堂」と呼ばれるものでした。
高さ180センチ、奥行きも80センチほどの石造りの、神像を安置する小さなお堂です。
その壁面にエジプトの暦がヒエログリフで描かれています。紀元前4世紀のもの。
ご存じの方も多いでしょうが、エジプトでは1年を360日としていました。残りの5日は祭礼にのみ使用して事実上「存在しない」ことにしていたとの由。
そしてこの360日は10日づつ、36の「旬」(デカン)に分割されていたのです。
この祠堂の壁面のヒエログリフはそのデカンを表現しているというのです。
この時代、エジプトにはまだバビロニア、ギリシャの12星座占星術は入っていませんが、このデカンの概念はのちに、ホロスコープに取り入れられるようになり、インド、アラビアへも広がってゆきます。西ヨーロッパにはこのデカンの神々は、ルネサンスの時代に再度流入して、ルネサンスの魔術として花開きます。
デカンについても触れている、アラビア起源の魔術書である「ピカトリクス」などをフィチーノをはじめとする哲学者が貴族文化に紹介してゆくのです。
以前もどこかでご紹介したかと思いますが、イタリアのフェラーラのスキファノイア宮には、エジプト起源のデカンの神々を描いた暦絵が壁面を飾っている部屋があり、その絵を美術史家のアビ・ワールブルグが読み解くことで、「イコノロジー」(図像学)という学問が成立してゆきます。
ワールブルグが言うとおり、「ギリシアの恒星天の最古層には、最初に、エジプト起源のデカン崇拝の図式が横たえて」いたのです。(「フェラーラのスキファノイア宮におけるイタリア美術と国際占星術」、伊藤博明監訳)
その源流がここにある、と思うと、ほんとに大興奮。
もちろん、ほかの展示も興味深いものばかりでした。
レセプションにも出ようと会場を歩いていると、ほぼ10年ぶりにエジプト舞踊のレイカさんと再会。
さらに「鏡さん!」と声をいただき、振り返ると、荒俣宏先生がいらしたりして。
興奮度合いはさらにアップしたのでした。
「海のエジプト展」、夏休みにはぜひ、ご覧になってはいかがでしょうか。



















